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単館満員・カンヌ2冠『存在のない子供たち』感想|評価 ★★★★★ excellent!  必見

『存在のない子供たち』評価 ★★★★★ excellent!  必見

総評|難民・不法移民として生きる不条理さを圧倒的なリアルさで見せつける。
ただの映画ではなく、彼らの叫び・生き様がそこにある

鑑賞理由

 

2019年、夏。

女性監督の映画たちが

東京の単館映画館をにぎわしています。

そのうちのひとり、

女性監督のナディーン・ラバキーは

レバノン出身。

本作は中東のレバノン映画です。

中東映画、ましてレバノン映画に

まったくなじみはありません。

女性監督で子供が主人公のレバノン映画が

カンヌ国際映画祭で2部門受賞しました。

コンペティション部門審査員賞と

エキュメニカル審査員賞(※)です。

中東映画で子供が主人公といえば、せいぜい、

アッバス・キアロスタミ監督の作品しか

知りません。

彼の作品は、貧しさの中で生きる子供たちの姿に

ほのぼのさせられるもの。

本作は、この世の不条理を、子供主人公に

真正面から取り組んでいます。

この描き方に疑問が生じ

正直、観ることをためらいました。

しかし、公開2週目にして

映画館が満員だという話を聞きつけ

映画館に足を運びました。

※エキュメニカル審査員賞とは
キリスト教関連の団体から贈られる賞。
映画祭の独立部門のひとつ。

 

映画の背景

 

戦争をくりかえし、

難民や不法移民であふれかえる中東という

世界で生きる人にしか

こんな映画は創れません。

 

キャスティング

 

主人公の少年ゼインをはじめ

登場人物全員が、同じ境遇を生きています。

迫真の演技どころの話ではありません。

彼らのコトバ、動き、スクリーンに映るすべてが

彼らの世界、日常、生き様として

強いメッセージがありました。

日本という豊かな国で

平然と映画館の心地のよい椅子にすわり

スクリーンを観ている…

そんな我々には

到底想像すらできない世界を

彼らを通して

まざまざと見せつけられます。

 

感想

 

映画の途中から

この世界はフィクションでなく

リアルな世界としか

観れなくなってきます。

それほど

主人公のゼインをはじめとした

登場人物たちに

嘘偽りがありません。

はるかに想像を超える過酷さに

言葉を失い呆然とします。

映画、フィクションとして言うならば

子供が裁判をおこし

親を訴えるーーー、

「僕を生んだ罪で」と言わせるのは、

フィクションとして圧巻でした。

嘘で真実を語る、には

このシーン、

このセリフ、

裁判を起こすまでの展開が

とても映画らしい。

しかもフィクションなのに

まったく違和感がないところに

監督しての手腕を

見せつけられました。

 

作品情報:

上映時間 125分

製作国 レバノン/フランス

公開情報 劇場公開(キノフィルムズ)

監督  ナディーン・ラバキー

製作  ハーレド・ムザンナル

出演  ゼイン・アル・ラフィーア  ヨルダノス・シフェラウ

公式サイト:http://sonzai-movie.jp/

Youtubeで予告を観る:

  • この記事を書いた人

Cineカエル

映画好きが高じて、映画業界を渡り歩いています。 自分が拾った映画にまつわる情報を「映画レビュー」、「動画配信」、「映画祭」、「映画を作る」という観点でまとめていきます。

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