邦画

2020/9/4

今村昌平監督『にっぽん昆虫記』(1963)  昭和を底辺で生き抜く【女の生き様が卑しくたくましく人間臭い】

  女の生命力、欲、愚かさ、性。このすべてがあってこそ人間という生き物。   こんな人におすすめ   ・小作人の娘として生まれ、昭和の時代を「女を武器」に生きてゆく   ・生きることは、時にみじめで、みにくく、いやしい。そんな女の生き様がありありと描かれる   ・父と娘の関係が、田舎独特で、きわどく、エログロさにド肝をぬかれる     見どころ   ・昭和の時代、底辺で生かざるを得ないからこそ、うきぼりになる人間の卑しさとたく ...

2020/7/14

『秋刀魚の味』(1962) 小津安二郎監督 遺作 "人生の哀愁”が笠智衆でしみじみと味わい深い

  小津作品定番の"昭和の家族像と人生の切なさと”   こんな人におすすめ   ・小津作品定番、妻を先立たれた男が一人娘を嫁に出すまでの、人生の喜びと悲しみ、老いと孤独を描く。   ・笠智衆だからこそ、人間性からにじみ出る優しさと味わい深い父親像になっている →その演技は秀悦(監督の完璧なまでに計算づくされた演出と構造美が生きている ※以下の番外編映像を参照)   ・1962年(昭和37年)当時の日本。独特の空気感を存分に味わえる   ・戦争の面 ...

2020/7/11

『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017) 【恋愛×ミステリー】 あなたはラストのどんでん返しで腑に落とせるか?

愛憎むきだしでおぼれた果てに待つものは…?!   こんな人におすすめ   ・人間の本質のえげつなさを描く白石和彌監督の「初」の恋愛もの   ・竹野内豊扮する黒崎。ここまでゲス野郎は見たことない!この男から不幸は始まる →女性は黒崎に胸くそ悪くなるので要注意!   ・この黒崎に引き寄せられる女、その女に引き寄せられる男が全員そろってバカばかり!!   ・全員が自分よがりな”愛”や”欲”にまみれ、翻弄されてゆく   ・イヤミス(観た後に嫌な気持ちにな ...

2020/7/20

『日本で一番悪い奴ら』(2016)~成果主義をまっとうした警察官の成れの果て・実話~

「間違いをおかしたことはないんですか?」 成果を求められる社会で生きぬくために、素直がゆえに、危険をおかす     こんな人におすすめ   ・警察、ヤクザ、の裏社会の実態を知りたい   ・人間の持つ闇、そのえげつなさを描く白石和彌監督×綾野剛主演   ・フィクションではなく実話。その説得力。 2002年の北海道警察で起こり「日本警察史上最大の不祥事」とされた「稲葉事件」。本人が書いた暴露本が原作。 →「そんなバカな!」とリアリティーがないストーリー展開に「 ...

mishima_toudai

2020/5/12

ドキュメンタリー『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』感想|評価 ★★★★★ exellent 必見

  総評   評価★★★★★ exellent 必見   50年前、激動の時代に生きた人間の「熱さ」がビンビンと伝わってくる。 否が応でも三島由紀夫の魅力に圧倒される108分!   感想   三島由紀夫、という人間力に圧倒される。   血気盛んな東大全共闘1000人を前に論戦を繰り広げる、という前代未聞の設定だけでもしびれてしまった。   当時の想定できない理解不可能な言葉の応酬と熱気。そして彼らの表情が、より生々しさを増す。理解にくる ...

2020/4/21

佐藤浩市主演 『Fukushima 50』感想(ネタばれ)|評価 ★★★★★ excellent 必見

総評   「あの時、現場で何が起こっていたか」をリアルに見せてくれる そのすさまじさは、観るべき映画としか言いようがない   映画の背景 原作もの。 ノンフィクション 「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」門田隆将 リンク キャスティング   どのキャストにも文句なし! 佐藤浩市と渡辺謙、 日本映画の2トップの共演、 競演、といったところ。   感想 『事実をもとにした物語』 この映画は、ここに尽きる。   原子炉の暴走を止められたこと、は 奇跡だった ...

2020/4/21

2020年日本アカデミー賞受賞作・映画『新聞記者』感想|評価 ★★★★☆ Very Good! 観る価値あり

  総評 評価 ★★★★☆ Very Good! 観る価値あり 政治とマスメディアがもつ日本の闇を直球で描く大胆さに プロデューサーの力量が見える   映画の背景   官房長官に質問しつづけ、 牙をむく名物新聞記者、 東京新聞・望月 衣塑子氏の原作ありきの映画。 リンク 本作公開して約半年後、 彼女を追った、 ドキュメンタリー『i-新聞記者ドキュメント-』が 公開されます。 官房長官をはじめとする今の政治に 牙をむくリアルな姿は必見です。 彼女のその姿に 日本が、今、何が問題 ...

2020/4/21

ドキュメンタリー『さよならテレビ』感想(ネタばれ)|評価 ★★★★☆ very good!

ドキュメンタリー『さよならテレビ』感想(ネタばれ)|評価 ★★★★☆ very good! 総評 ”製作側が自社社員”という縛りと核心を ついているようでついてないところが芯をつき唸らせる 鑑賞理由   ドキュメンタリーに定評のある東海テレビが 自分たちにカメラを向けるという 斬新さと勇気に どんな映像が撮れたのか 純粋に楽しみにしていました。 そこへ初日から映画館が満員という朗報に 押されるようにポレポレ東中野へ 観に行きました。   感想   自社の報道部に目を向けて、 ...

2020/9/3

『i-新聞記者ドキュメント-』感想|評価 ★★★★☆ Very Good! 観る価値あり

『i-新聞記者ドキュメント-』評価 ★★★★☆ Very Good! 観る価値あり 総評 メディアの今の在り方、そして今の日本が ある女性新聞記者の姿からあぶりだされる   鑑賞理由   映画「新聞記者」を観ていた。 その作品のモデルとなった新聞記者のドキュメンタリーと聞いて、興味がわいた。   何より、監督があの森達也氏である。彼は、ここ最近、独特な手法で観客を当惑させている。 『FAKE』は、まさに作風、構造自体をテーマと同化させ、観客に挑戦的だ。今、ドキュメンタリーの世 ...

2020/4/21

白石和彌監督 映画『ひとよ』感想(ネタばれ)|評価★★★ good!

『ひとよ』評価 ★★★☆☆ good! 総評|状況設定が酷すぎて、とにかく苦しいが 家族はどんな状況に陥っても、家族なんだと思い知らされる 鑑賞理由 邦画界で勢いのある、白石和彌監督。 底辺で生きざるを得なくなった人を 描き続けています。 本作は、どん底に陥った"家族”の再生物語。 原作の著者は劇作家・桑原裕子氏。 注目をしている監督が撮った作品です。 キャスティング 田中裕子氏筆頭に、 実力者が勢ぞろいしているキャストに 制作陣の心意気を感じます。 母親が父親を殺す、という事件により 心に傷を負った3兄 ...

© 2024 Cineカエル Powered by AFFINGER5