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『狐狼の血』感想| ★★★★☆ 観る価値あり!

評価 ★★★★☆ Very Good! 観る価値あり

総評 ひさびさに昭和に生きた人々の煮えたぎるマグマを感じられ
仁義なき抗争劇に熱くなれる!

 

鑑賞理由

 

昭和を舞台にしたヤクザ映画、と聞いて、
“今さらなんで?”感が強く
公開された当時は、興味がまったくわきませんでした。
(実際は警察小説ですが、
映像からそんな風にはまったく見えません…)

ところが、日本アカデミー賞で
主演男優賞は役所広司、
助演男優賞が松坂桃李が本作で受賞。
授賞式の様子を観ていて、
役所広司と松坂桃李の2人の役者の間に
尋常ならない何かが生まれ、
それが、どんなケミストリーで
作品にどう映っているのだろうと
確かめたくなりました。

 

映画の背景

 

東映×白石和彌監督の組み合わせで
次々と作品が生まれていました。
それらの集大成として
結晶化させたのが「孤狼の血」と言えそうです。

「警察小説×仁義なき戦い」と謳われていますが
原作者の柚月裕子氏は、はっきり言っています。

 

本作は「仁義なき戦い」なくして
生まれなかった

原作「孤狼の血」 角川文庫

そして公開してすぐに、
続編のシリーズ第二弾「凶犬の眼」の映画化が決定した、
というニュース。

まさに「これぞ、東映映画」が再燃する予感です。

原作「凶犬の眼」 角川文庫

 

キャスティング

役所広司氏は圧倒的な演技と存在感で
言うまでもありませんが
松坂桃李氏はじめ、すべての役者さんが
光っていました。
これは面白かった。

現場は、ヤクザな映画なだけに
大変だったでしょうが
それぞれ役にうまく乗っていた、ように伺えます。

ヤクザのイメージに遠い、
竹野内豊氏や江口洋介氏、、
朝ドラで人気が出た中村倫也氏など
当然でしょうが、
役者として勝負をしていました。

 

感想

 

原作は警察小説ではありますが、
『仁義なき戦い』の世界を新たなキャストで
見事に再現。
それが陳腐におわらず、成功していました。

要素として、まず、舞台が広島。
やはり、広島のなまりが
演出として花を添えていました。

そして昭和という時代設定。
警察署、クーラーのない暑さ、
ヤクザ、という存在がとてもリアルな時代。
服装、パンチパーマ、刺青、クラブのママ…
匂ってくるほど、昭和を感じさせます。

物語も典型的なパターンで語られていきます。
刑事ものと言えば、バディもの。
派遣されたばかりのキャリア組の新人と
ヤクザまがいで手段を選ばないベテラン。
暴力とエロス、
ヤクザの抗争と警察内部の不祥事、
そして、裏の裏をかくミステリー。

どれも想定内ではあるけれど
演技力と演出力で創られる映像と
広島なまりのセリフ、
特有のナレーションと音楽で
引き込まれていきます。
それが、ある種、とても爽快で
最後まで面白く鑑賞できます。

これぞ、ジャンル映画の喜びであり、
映画ならではの自由な表現を
憶することなく果敢に挑んでいました。

だからこそ
見ごたえのある映画に仕上がっています。

作品情報:

『孤狼の血』(2018年製作)

尺 126分
日本映画
監督 白石和彌
脚本 池上純哉
出演 役所広司/松坂桃李/真木よう子/石橋蓮司
配給 東映
製作 「孤狼の血」製作委員会
レイティング:R15
(c)「孤狼の血」製作委員会

公式サイト http://www.korou.jp/
You tubeで予告を観る https://youtu.be/AWqkJ95_9JA

  • この記事を書いた人

Cineカエル

映画好きが高じて、映画業界を渡り歩いています。 自分が拾った映画にまつわる情報を「映画レビュー」、「動画配信」、「映画祭」、「映画を作る」という観点でまとめていきます。

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