『RBG 最強の85才』評価 ★★★★★ excellent! 必見
総評 米国の現役最高齢の女性最高裁判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグの
姿、肉声、そして生き様の記録は、人間の希望の記録となる
目次
鑑賞理由
彼女の半生を描いた映画『ビリーブ 未来への大逆転』を
4月に鑑賞しました。
信念をまげずに努力し続ける姿、それを支える夫婦愛が描かれ
映画としては、まずまずの出来でした。
(感想など詳しくはこちらをどうぞ)
そもそもこの映画を観るきっかけになったのが
このドキュメンタリー映画の予告です。
自分の母親と歳が変わらないおばあさんが、ジムでトレーナーをつけて
腕立て伏せをしている姿が目に焼きついて離れませんでした…
「誰だ!このばあさんは? 一体、何者なんだ?」
今、思うと、
ちょうどそのころ、自分の理想が「生涯現役」だと定まった時期と
重なっていました。
その姿はまさに、将来のお手本を見せつけられ
衝撃でした。
映画の背景
彼女は、アメリカの女性の間では、英雄的存在。
彼女の姿をモチーフにしたTシャツやマグカップなど
グッズまで売られている人気ぶり。
いかにもアメリカらしい。
まさに彼女の功績を物語っています。
感想
彼女が大学進学し、就職をむかえる1950年代のアメリカは
今では信じられないくらいの男女差別が、ごく自然のこととして
まかり通っていました。
彼女は、ハーバード大学ロースクールだろうが、
コロンビア大学だろうが
どんなに優秀な成績をおさめても
弁護士として彼女をやとう法律事務所はゼロ…
この悔しい経験が、あとで実ることになります。
頭が上がらないのは、学生のころに結婚して、
子供まで生んでいること、
さらに
旦那さんは、ガンに冒されてしまいます。
彼女はへこたれることもなく
勉強、育児、そして、旦那さんの介護までやり遂げます…
最愛の人の死を間近に感じながらも
必死で前を見続ける、
そんな学生時代は、人の何十倍も努力しなければ
成り立ちません。
彼女の献身が実り、旦那さんは回復に向かいます。
しかし就職では女性だからという理由で、門前払い。
この不平等、差別の厚い壁に彼女は成す術がありませんでした。
それでも彼女は弁護士への道をあきらめず
一歩一歩、地道に進み続けます。
旦那さんを支え続けた時と同じで
ひたすら前を向き、やるべきことを1日1日と
淡々とこなしていく…
「法の下にはみな平等である」という憲法を胸にかえて。
やがて、チャンスが訪れます。
彼女は満を持して、果敢に臨みます。
差別を差別とさえ感じられない男性判事たちを相手に。
そんな男性たちの悪気のない軽はずみな言葉にも
怒らず、冷静に、諭すように反論します。
彼女は語ります、
怒りがこみ上げた時はいつも
母の言葉『怒りは自滅を招く』と心で何度も繰り返した、と。
今、こうして女性が社会進出ができるのも
彼女のおかげです。
1933年生まれ、現在、86才。
すい臓がん、転倒による骨折、悪性腫瘍など患いながらも
リベラルな立場を守るため
彼女は最高歳判事引退をしないだろうと言われています。
それは共和党のトランプ政権発足後、
大統領から保守派の判事が送り込まれているためです。
今日も、彼女は、腕立て伏せをするためにジムへ向かいます。
作品情報:
上映時間 98分
製作国 アメリカ
公開情報 劇場公開(ファインフィルムズ)
監督 ベッツィ・ウェスト ジュリー・コーエン
製作 ベッツィ・ウェスト ジュリー・コーエン
出演 ルース・ベイダー・ギンズバーグ
公式サイト:http://www.finefilms.co.jp/rbg/
Youtubeで予告を観る: