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『寝ても覚めても』'18カンヌ国際映画祭コンペティション部門選出|評価★★★☆☆ good!

評価★★★☆☆ good!

総評 単純な設定のようで深いのか。恋愛は幻想のような他者に翻弄される。
それをロマンという言葉で語ったらあまりに勝手だ

 

鑑賞理由

 

濱口監督の前作、映画「ハッピーアワー」(2015)は

5時間17分、という前代未聞の長時間映画であり、

かつ、市民参加の『即興演技ワークショップ in Kobe』から生まれ

有名な俳優さんが出ていません。

それにも関わらずロングランヒットを飛ばしました。

4人の女性が主人公で、長時間にもかかわらず

あっという間に思えるほど面白かった。

そして次回作にあたる本作では

映画人なら誰もがうらやむであろうカンヌ国際映画祭

コンペティション部門選出、という快挙を遂げました。

 

映画の背景

 

本作は映画のために書かれた脚本はありません。

オリジナルでなはく、原作ものです。

濱口監督が、ほれ込んだ恋愛小説、

柴崎友香 『寝ても覚めても』(河出書房新社刊)です。

顔かたちがそっくりな2人が出てくるお話です。

かつて気が狂うほど愛した人と

瓜二つの人が目の前に現れたら自分はどうなるか・・・

それが引き金となり、

自分にはコントロール不能な別の自分が出てくる、

というところに監督は興味がわいたそうです。

 

キャスティング

 

主人公の朝子を演じる唐田えりか氏は、

役に近い人柄なのでしょう。

演技がうまいとは言えませんが

役柄にはハマっていました。

恋人役で二役を演じるのが、東出昌大氏。

俳優として、既成の枠やイメージを超えたい、

壊したい時にちょうど出会った作品のように

見受けられます。

 

感想

 

かつて愛した人とそっくりな人が現れたとしても

それは完全に別の人間であり、

相手との関係性も変わってくるでしょう。

かつて愛した人と同じように愛せるか、なんて

愚問でしかない、

と決めつけてはいけない、

そんな映画です。

その時、まったく予想できない自分が現れて、

制御できない自分に翻弄される、

そして自分はそんな自分とどう向き合うのか…

制御できない自分に従えば

相手を傷つけて不幸になるのは間違いない、と

思わずにはいられません。

そこにロマンはあるのでしょうか…

強い作家性を好まれるカンヌ国際映画祭。

選出された作品は、商業的に成功しない、という

ジンクスがあります。

選出された作品が、自分の好みにあうかどうか、という

視点をもちながら鑑賞するのも

また映画ならではの楽しみです。

作品情報:

上映時間 119分

製作国 日本/2018年

公開情報 劇場公開 ビターズ・エンド=エレファント 

監督  濱口竜介

エグゼクティブ・プロデューサー 福嶋更一郎

プロデューサー  定井勇二  山本晃久 服部保彦

原作  柴崎友香 『寝ても覚めても』(河出書房新社刊)

脚本 田中幸子 濱口竜介

出演  東出昌大  唐田えりか  瀬戸康史

公式サイト:http://netemosametemo.jp/

Youtubeで予告を観る:https://youtu.be/eMxAm1n083Q

  • この記事を書いた人

Cineカエル

映画好きが高じて、映画業界を渡り歩いています。 自分が拾った映画にまつわる情報を「映画レビュー」、「動画配信」、「映画祭」、「映画を作る」という観点でまとめていきます。

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