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『ROMA/ローマ』感想 | ★★★★☆ very good アルフォンソ・キュアロン監督

評価 ★★★★☆

総評:
1970年代のメキシコに生きた人々の想いが
痛いほど伝わる。映画館で観たい!

 

鑑賞理由

Netfilxのオリジナル長編作品。
動画配信なのに全編白黒という大胆さ。
第91回米国アカデミー賞®では10部門で最多ノミネート。
授賞式前にNetflixで気軽に観られるなら、
今、観るしかない!

追記:
3月9日より全国イオンシネマ48館にて上映決定!

映画の背景

 

監督はアルフォンソ・キュアロン。
メキシコ生まれでメキシコ映画「天国の口、終わりの楽園」の
世界的ヒットを機にハリウッドに進出。
「ゼロ・グラビティ」ではアカデミー監督賞を受賞した
折り紙付きの監督。
そんな彼が、自伝的内容を、それも全編白黒で
Netfilxのオリジナル長編作品として出口先を決定。

背景には、舞台が70年代のメキシコ、
主役は家政婦、スターはでない、
そんな映画にヒットは見込まれず、お金を出す映画会社はなく、
監督は資金ぐりに苦労したようです。
そこに救世主のごとく手を挙げたのが、Netflix。
大きな資金力が見えます。
今の映画業界を変える力、時代を象徴していますね。

ただ、作品は全編白黒で撮られており
映画館の大きなスクリーンで観るように
実際作られているところをみると
監督としては、観客には
ぜひ映画館の大画面で観てほしいと
願っていることがうかがえます。

そして2018年のヴェネチア国際映画祭では
コンペティション部門、金獅子賞に輝きます!
一方、カンヌ国際映画祭では
結局、出品の条件で、映画祭側とNetfilx側で
またもや折り合いがつかず、
出品できずじまいに終わりました。
この時のカンヌ国際映画祭では、是枝監督「万引き家族」が
パルムドールを受賞しています。

そして、アカデミー賞®10部門最多ノミネート。

今後の映画業界の行方が、
この作品の受賞にかかっていると言っても
過言ではありません。
従来の映画の、映画館の時代が
変わろうとしています。

ちなみに、アカデミー外国語映画賞では
「万引き家族」、「ROMA/ローマ」が
ノミネートされています。
どちらに軍配があがるか、
それだけでも、とても楽しみです。

追記:
第91回 アカデミー賞®の結果です。
監督賞、撮影賞、外国語映画賞、を獲得しました

感想

 

舞台は“1970年代のメキシコ”、
というだけで、自分にとっては未知の世界。
恥ずかしながら、なじみがなく、
その時代のメキシコを知りません。
幸いにして、それがある種、
主人公の家政婦と同じ立場となり
彼女に感情移入しながら
ストーリーを追うことができます。

ただ、その分、家政婦としての
恵まれない立場、辛い境遇が
身に染みます。
味方であるはずの男性が
男性優位を当然とし、
女性を差別、モノのように扱う姿に
やるせなさ、怒りが、こみあげて、
観ていて、とてもつらいです。

そんな抗うことのできない時代を
その背景を
映画はまじまじと見せつけます。

全編白黒ですが、
優雅に美しく撮られていて、
まったく飽きさせません。

スターは出てこない分
演技力など気になりますが
特に主人公の彼女は、こなれてないところが
かえって、とても自然体で引き込まれます。

静かな映画でありながら
パワフルでメッセージ性も強く
とても映画らしい映画です。

残念ながら映画館で観れないところが
5つ星にならない理由です。

ちなみに、2018年の東京国際映画祭では
特別上映作品として招待され、
劇場上映しています。
観ればよかった。

作品情報:

「ROMA/ローマ」(2018年製作)
動画配信 Netflix にて配信中
※3月9日よりイオンシネマ全国48館にて上映決定
尺 2時間15分
メキシコ映画
監督 アルフォンソ・キュアロン
脚本 アルフォンソ・キュアロン
公式サイト https://www.netflix.com/title/80240715

You tubeで予告を観る https://www.youtube.com/watch?v=fp_i7cnOgbQ

  • この記事を書いた人

Cineカエル

映画好きが高じて、映画業界を渡り歩いています。 自分が拾った映画にまつわる情報を「映画レビュー」、「動画配信」、「映画祭」、「映画を作る」という観点でまとめていきます。

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