『リチャード・ジュエル』評価 ★★★★☆ Very Good! 観る価値あり
アカデミー賞® 助演女優賞受賞
目次
総評
ありがちな犯人像、あおるマスコミ、面白がる聴衆、
全部そろえば、簡単に容疑者となる様はあまりに陳腐で恐ろしい
映画の背景
1996年のアトランタ爆破事件をもとにした、
イーストウッド監督作品、40作目。
ここ最近、イーストウッドは実話をもとにした
作品を描き続けています。
実話は説得力もあり、
時代性や社会問題を
映画を通じて俯瞰しやすい。
作品をリリースするたびに
今を生きる我々に
自分のあり方を問い続けています。
キャスティング
タイトルである主人公のリチャードを
演じるポール・ウォルター・ハウザーは
観て分かる通り、実物そっくり。
映画初主演ということもあり
気合十分。
弁護士役には
サム・ロックウェル。
クセのある役を演じたら
天下一品。
今回もノリノリでしたが
彼の演技は鼻につきません。
主人公の母親役のキャシー・ベイツは
大御所の出番、と言ったところでしょうか。
ぴりりと辛味のある
オトナの女性をよく演じますが
今回はごく普通の母親に徹していました。
自慢の息子が容疑者にまつりあげられていく、
母として何もしてあげられない悲痛さが
とても切ない。
記者会見のシーンは
誰だって心打たれるでしょう。
ごく普通の母親が必死に息子の正当性を
涙ながら必死に訴える…
ここは彼女の演技力あってこそ。
さすが、アカデミー賞をはじめとした
数々の助演賞をかっさらいました。
製作には、ディカプリオやジョナ・ヒルなど
俳優陣が参加してて
イーストウッド作品に製作としてクレジットされるのは
どう解釈すればいいのだろう。
ハリウッド事情を知らないものとしては
俳優だけではない、
勲章めいた肩書が欲しいのかと
勘ぐってしまう。
感想
冤罪のお話です。
外見、ふだんの素行、うわさ、評判…
彼の要素すべてが
一般大衆が求める“ありがちな犯人像”に
あてはまってしまった…
スクープを狙う地元の新聞記者、
管轄のFBIは、
こぞって彼を容疑者に
仕立て上げてゆくーー。
十分な証拠がないまま
警察、マスコミ、全米が
彼を犯罪者として血祭りにあげてゆく。
日に日に勢いをまし、もはや
誰にも止められない…
徐々に証拠不十分な事実が
判明しても、
公的機関だけにもはや
引くに引けない。
これが冤罪の実態。
渦中の本人とその家族は、
あまりに悲劇だ…
これが現実であり
フェイクニュースがとびかう現在、
実は、事件から20年以上たつ、
今の方がよくある話だ。
いつでもだれでも
いとも簡単に
次のリチャード・ジュエルになりえます。
冷静になればなるほど
自分たちのあり方を
問われています。
作品情報:
上映時間 131分
製作国 アメリカ(2019年製作)
配給 ワーナー・ブラザース映画
日本初公開日: 2020/01/17
監督 クリント・イーストウッド
製作 クリント・イーストウッド ティム・ムーア ジェシカ・マイヤー ケビン・ミッシャー
レオナルド・ディカプリオ ジェニファー・デイビソン ジョナ・ヒル
出演 ポール・ウォルター・ハウザー サム・ロックウェル キャシー・ベイツ
公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/richard-jewelljp/
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